2018年4 月から松屋の牛丼が30円値上げされました。たかが30円ですが、松屋の牛丼は290円でしたので、値上がり率約10%と、比較的大きな値上げと言えるでしょう。その他にも医療費や介護費なども上昇しています。今回は「インフレ・デフレ」が私達の資産にどのような影響を与えるのか考えてみましょう。
◆1億円の現金
今1億円の現金を持っていたとして、将来的にインフレ(物価上昇)になれば資産価値は減り、デフレ(物価下落)になれば資産価値は増えます。例えば、日銀の黒田総裁が目標として掲げる物価上昇率2%の状態が10年間続くと、物の価値は現在の1.219倍となり、今1億円で買えるものが、10年後には1億2190万円を支払わなければ手に入らなくなります。つまり1億円の価値が下がったことになります。このように、現金というのはインフレに弱く、デフレに強い性質があります。現金だけでなく生命保険や年金保険(ドル建て、変額年金を除く)も将来受け取る金額が日本円で確定されている事がほとんどですので、同じくデフレに強い金融商品と言えます。
◆今後、日本はインフレになるのか?
資産形成を考える上で将来的にインフレ、デフレのどちらに振れるかは重要なポイントです。私の持論ですが、長期的にはほぼ間違いなくインフレになるでしょう。
インフレになる要因というのはいくつかありますが、私がインフレになると考える理由に日本政府が赤字国債(借金)を発行していることが挙げられます。冒頭でお伝えしたように1億円の現金はインフレになれば価値は下がりますが、反対に1億円の借金を抱えて
いた場合、インフレになると借金は目減りします。変お話ですが、インフレになる状況下では借金をしているだけで勝手に負債が減っていくのです。もちろん、利息の支払いがあるので無意味な借金は不要ですが、事業借入など収益を生む為の借入は出来るだけ長期でゆっくり返済する方がインフレの状況下では有利となります。
同じように日本政府も10年、20年、30年前に発行した長期国債についてインフレになれば償還(返済)すべき額面上の金額は変わりませんが、返済負担は少なくなります。このようにインフレになると借金は目減りするのです。
◆預金封鎖やハイパーインフレが起こる可能性は?
戦後の日本ではハイパーインフレが起こり物価は約70倍となり、預金封鎖によって財産税が課せられ、新円切替が行われました。これにより日本政府は敗戦による賠償金の支払いや、戦争国債の償還を行ったのです。もちろん今の日本で同じことが起こる事は考えにくいですが、現在の日本政府の借金総額はGDPの2倍を超えています。これは終戦後の日本の財務状況と非常に近い状態です。医院経営で例えると、売り上げが8000万円の医院が1.6億の事業借入れをしている状態でしょうか。更なる問題は、毎年の支出が収入を上回っていて、借金の返済どころか雪だるま式に負債が増えていっていることです。
この状態を打開するためには、以下の3つの方法が有効です。
①収入を増やす。(増税)
②支出を減らす。(社会保障費の見直しなど)
③借金を減らす。(インフレ)
これらが、家計に与える影響を考えると、①を実施すれば手取り給与が減り、②を行うと医療費や介護費等の負担増に加え将来の年金不安が増し、国民が反発することは容易に予想できます。その反面③は徐々に物価を上げ、それと共景気が良くなり、収入も増えるため比較的国民に受け入れられやすい策と言えます。そのため急激なハイパーインフレなどは起こらないとしても着実にインフレさせる事で問題の解決を図ってくることでしょう。
次回は後編をお届けします。
お楽しみにお待ちください!
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