「あらゆる生あるものの目指すところは死である」。このフロイト博士の名言のように人は誰しもが人生の閉幕を迎えることになります。
最近は、終活やエンディングノートといった言葉を良く耳にするように相続人、被相続人双方にとって「相続対策」は大きな課題となっています。遺産相続における課題は「相続税」と「遺産分割」の大きく2つに分かれます。平成27年の税制改正で、相続税制度に大きく2点の変更がされました。基礎控除額の引き下げと納税率の引き上げで、これにより相続税の納税対象が拡大し、その納税額も増えました。
今回は相続にかかる税金についてお話しします。
人生最後のイベント
~遺産相続~
◆相続は2回ある
相続の課題を解決するには、一次相続(配偶者とお子様に対する相続)と二次相続(相続を受けた配偶者
からお子様への相続)の2度の相続に対応させる必要があります。一次相続の場合は配偶者特別控除として1.6億円
までは非課税となりますが、二次相続の場合は基礎控除だけとなり、課税対象額が一気に増えます。基礎控除額の計算式は以下の通りです。
基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)
例えとして、二次相続の場合にお子様が2人で相続した場合の相続税を計算してみましょう。
仮に現金が1億円、死亡保険金が1億円、有価証券が1億円で遺産総額が3億円あったとします。死亡保険金には非課税枠が1000万円(500万円×法定相続人2人)あるので、9000万円が課税対象です。
現金と有価証券は原則時価になりますので、おおよそ2億9000万円が相続資産となり、そこから基礎控除の4200万
円(3000万円+600万円×法定相続人2人)を差し引いた2億4800万円が課税対象額となります。これを相続税率の速算表に当てはめると1億1133万円もの相続税がかかる事になります。
【(参照)国税庁:相続税率速算表 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm】
◆家や土地の相続での注意点
先ほどの事例のように、現金や有価証券など比較的分割しやすい物であれば兄弟で分割してから現金で納付することが可能ですが、実際には先祖代々残された家や土地など分割しにくい物も相続資産には含まれています。
ご実家は小規模宅地の特例が適用されますが、相続人が居住していない場合には適用要件を外れる場合があるので、注意が必要です。保険屋さんが相続税対策で保険を勧めることもありますが、そもそもその保険が相続税の課税対象になりますし、所得税を払った後のお金で保険に入って相続資産が増えてしまうのであれば本末転倒だと私は思っています。
今回は前編ということで相続税の注意点までお伝えさせていただきました。
次回は相続税の対策についてお伝えする予定となりますので、次回の記事もお楽しみにお待ちくださいませ!
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