『節税の仕組み(前編)』
皆様こんにちは!
いかがお過ごしでしょうか?
段々と暑くなってきておりますので、熱中症にはお気をつけ下さいませ!
では、本日は節税についてお伝えします!是非ご一読くださいませ。
1.「節税」と「課税の繰り延べ」の違い
勘違いされやすいのですが、「節税」と「課税の繰り延べ」は全くの別物です。
「節税」とは税法上、その後も課税をされない事がポイントとなります。
例えば、「確定拠出型年金制度(iDeco、401k)」は拠出、運用、受取のどの場合にも非課税枠があります。他にも「小規模企業共済」「国民年金基金」「生命保険料控除」などが挙げられます。とてもいい制度ではありますがこれらは非課税枠に上限が設けられており(100%非課税ではない)、年間に数百万から数千万単位で納税をされている医師にとっては焼け石に水でしょう。
「課税の繰り延べ」とはその年の課税所得を下げ、下げた分を翌年以降に繰り越すことを言います。太陽光発電やコンテナルームなどの減価償却資産を活用したものや経営セーフティ共済、法人保険などが代表的な物でしょう。ただ、受取りや投資回収をする際には益金となり課税されてしまうので、出口戦略が重要となります。
経営セーフティ共済は分かりやすい一例です。月額20万円、年間240万円を共済金として支払えば支払った全額が課税所得から控除されます。
2.課税所得1800万円の場合
所得税:440.4万円
セーフティ共済控除後
課税所得1800万円ー控除240万円=1560万円
所得税:361.2万円
※復興特別所得税、源泉徴収、税額控除は除く。
※課税所得は各所得控除後の金額。
240万円を拠出することで所得税が79.2万円の減額となります。
税額だけを見れば、大きく下がっているかのように思えますが、実際には240万円を支払っているので、160.8万円が手元から無くなっています。
これを回収して初めて節税となります。経営セーフティ共済は自己都合解約であっても、40ヶ月以上納付していれば掛け金の全額が返ってきます。ただし、受け取りの際には益金となり課税対象となってしまうので、納付時の税率よりも安い税率で受け取らなければ節税にはならず、税率が高い状態で受け取ってしまうと逆に増税となってしまいます。
3.解約時に課税所得2500万円となった場合
■課税所得2500万円の場合
所得税:720.4万円
セーフティ共済の解約後
課税所得2500万円 + 解約手当金 240万円 = 2740万円
所得税:816.4万円
解約時には96万円増税しているのでトータルで16.8万円の増税
となってしまいます。
これは課税の繰り延べの失敗の一例です。
4.解約時に課税所得600万円となった場合
■課税所得600万円の場合
所得税:74.4万円
セーフティ共済の解約後
課税所得600万円 + 解約手当金240万円 = 840万円
所得税:129.6万円
解約時に55.2万円税金負担が増えていますが、トータルでは24万円の節税となっています。
この様に出口戦略を間違えると節税の為とやった事が仇となるケースもあります。
以前、太陽光発電も特例によって一括償却が認められていた時期もあり、流行りましたが出口戦略のないままにやってしまった為、今になって増税となり困っている話はよく耳にします。
日本の所得税は累進課税制度を採用しているので、稼げば稼ぐほど税率は上がりますが、これを逆に利用する事で税金を抑えることも出来ます。 大事なのは税率の高い所で損金を計上し、税率の低い所で利益を計上することです。 大きな規模になれば個人の所得だけではなく、法人を設立し法人で課税をさせる方法や海外法人を設立し海外の法人で課税させる方法もあります(日本の法人税の法定実効税率は約33%、香港の法人税は16.5%)。
今回は節税で勘違いされがちなポイントについてお伝えしました。次回は後編は後編をお伝えしますのでお楽しみにお待ちください!
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