医師・歯科医師の先生方にとって、多忙な日常の中で「老後の資金準備」について腰を据えて考える機会はなかなか取りにくいものです。しかし人生100年時代において、「もしもひとりになったら」という場面を想定した早めの準備こそが、将来の安心を支える鍵となります。今回は、ひとりでの老後生活に向けた資金計画から、葬儀・お墓・相続に至るまで、先生方に特に押さえておいていただきたいポイントをまとめました。
「おひとり」になっても安心して暮らすために
平均寿命の差を考えると、一般的には妻が夫を見送り、その後ひとりで過ごす期間が訪れるケースが多いといわれています。そのときに頼りになるのは、公的年金や貯蓄だけではありません。計画的に整えておく資金準備こそが、老後の生活基盤を支える柱となります。
ひとりでの生活では、生活費に加え、医療費や介護費といった支出が増える傾向があります。賃貸にお住まいの場合は、高齢になると住まいに関する選択肢が狭まることもあり、元気なうちに検討しておくと安心です。また、車を手放すタイミングが来たときに、買い物や通院などの移動手段をどう確保するかも生活の質を左右します。
介護が必要になった場合、どこで・誰に介護してもらうのか、費用はどのくらいかかるのかを話し合っておくことも大切です。一般的な介護施設の利用料は平均して月9〜10万円前後ですが、生活水準に合った高級有料老人ホームでは月20〜40万円前後、さらに入居一時金として2,000〜3,000万円が必要なケースも少なくありません。生命保険文化センターの調査では平均介護期間は約4年7ヶ月とされており、5年以上に及ぶケースも4割を超えます。食費や医療費、日用品などを含めると、長期化すれば大きな出費になります。
また、入院や治療が長引けば、医療費や介護費用の支払いは続きます。介護や医療に関する備えをしておけば、もしものときにも慌てずに対応できるでしょう。
生活費・医療費・介護費などを含めた「必要資金」と「準備済資金」を今のうちに整理しておくことが、安心につながります。
葬儀・お墓・相続──”その後”の準備も思いやり
老後の安心は、日々の生活費だけでなく”その後”の備えからも生まれます。どんなお葬式を望むか、誰に連絡してほしいか、口座が凍結されても困らないようにするにはどうすればよいか――。こうしたことをあらかじめ考えておくことで、ご家族の負担をぐっと減らすことができます。
お墓についても、墓石のほかに樹木葬や散骨など選択肢が広がっています。誰にどのように財産を遺すかをあらかじめ決めておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
どちらかが先に亡くなったとき、すぐに活用できる流動性の高い資産を確保しておくことは何よりの支えになります。葬儀費用やお墓代、介護費、相続税の納税資金、そして当面の生活資金として備えておくことで、残された方の生活が安定します。
今から計画的に将来の資金計画を立てることが、安心して暮らせる老後への第一歩です。「おひとりになっても笑顔で暮らせる」未来のために、今日からできることを始めてみませんか。