背景・課題
お子様の進路が決まり、長年続いた教育費の負担の山をようやく越えられた頃にご相談をいただきました。50代に差しかかり「そろそろ老後のことを」とお考えになったものの、医院経営に専念してきた20年間、資産形成はほとんど手つかずの状態でした。
収支を整理すると、このままのペースでは70歳を過ぎても現役を続けなければ成り立たない試算が出てきます。老眼や腰痛といった体の変化も重なり、「いつまで今のペースで診療できるのか」——その問いが、頭から離れない様子でした。税負担の重さは毎年感じていても、何から手をつければよいか。ご相談時の最大の悩みは、そこにありました。
コンサルティングの内容
最初に取り組んだのは、収支と保険の全体整理です。開業当時から加入されたままの保険を確認すると、保障の重複や現状に合わない契約が複数。整理を進め、年間200万円以上の保険料を削減し、その分を毎月の積立投資へ回しました。
予定利率が低くこのまま保有しても解約返戻金がほとんど増えない保険は、損切りでも解約して資金を動かす方が合理的と判断。返戻金をまとめて債券投資に充て、安定したインカム収入の基盤を整えました。
医療法人の内部留保についても見直しが必要でした。利益は積み上がっていたものの、退職金の計画は白紙のまま。受け取りきれない分は最終的に国庫へ帰属してしまうため、法人保険による退職金準備と企業型確定拠出年金の導入を組み合わせ、引退時に計画的に手元へ戻せる設計を整えました。
個人の資産形成では、長年の実績と信用力を活かした一棟アパート投資も取り入れました。医業収入だけに頼らない収入の柱をつくることで、働き続ける期間の選択肢が広がります。
コンサルティングの成果
保険の見直しで年間200万円以上が削減され、その資金が毎月の積立投資へ。解約した保険の返戻金は債券投資に一括で充て、安定したインカム収入が加わりました。医療法人では退職金計画が整い、引退のタイミングをご自身で選べる余地が生まれています。一棟アパートからの賃料収入により、医業収入への依存度も少しずつ下がり始めました。
保険・有価証券・不動産の3つを包括的に整えることで、「70歳まで働き続けるしかない」という閉塞感が解消されました。経済的な安心だけでなく、「引退の時期を自分で決められる」という精神的な余裕こそが、最大の変化となりました。