「いつかは夫婦でゆっくり世界を旅したい」「できる限り長く診療を続けて地域に貢献したい」——先生方が思い描く将来像は、十人十色です。しかし、その理想を実現するためには、漠然と日々を過ごすだけでは不十分です。
本記事では、先生方が描くビジョンを現実のものにするために、押さえておくべき資金面のポイントを整理してお伝えします。
ビジョンを叶えるための第一歩——必要保障額の把握
「万が一」に備える金額を明確にする
将来設計を考える際、最初に確認すべきなのが必要保障額です。必要保障額とは、先生ご自身が事故や病気で働けなくなった場合、あるいは万が一亡くなられた場合に、ご家族がその後も不自由なく生活を送るために必要な資金の総額から、見込まれる収入を差し引いた不足分を指します。
具体的には、以下の項目を一つずつ洗い出してみてください。
- 配偶者様の今後の生活費
- お子様の生活費・教育費(大学卒業まで)
- お子様の結婚支援資金
- ご本人様および配偶者様の葬儀費用
- 就労不能となった場合の介護費・医療費
これらの合計額から、現時点で確保できている保障(生命保険・貯蓄・遺族年金など)を差し引き、不足があればその分を補う手立てを検討する必要があります。
リタイア後に必要な生活資金をシミュレーションする
リタイア後の支出を具体的に試算する
仮に65歳でご勇退されるとした場合、その後にかかる費用は生活費だけではありません。旅行や趣味などの余暇費、住宅の修繕、お子様・お孫様への支援、医療・介護費用など、想定すべき支出項目は多岐にわたります。
一般的に、60代以降の生活費は50代の6割〜8割程度になるといわれています。弊社では100歳までを目安にシミュレーションを行っていますが、医師・歯科医師の先生方は現役時代の収入水準が高い分、リタイア後に求める生活水準も高くなります。平均余命で試算した場合でも、年金だけでは必要資金を賄うことはできません。早い段階から計画的に準備を進めることが不可欠です。
貯金だけでは資産が目減りするリスク
「老後資金は貯金で十分」とお考えの先生もいらっしゃるかもしれません。しかし、食料品や光熱費をはじめ、すでに身の回りの物価上昇を実感されている方も多いのではないでしょうか。このインフレ傾向が今後も続く前提で考えると、預貯金のみで老後に備えることには大きなリスクが伴います。
たとえば1,000万円を現金のまま保有し続けた場合、年2%のインフレが30年間続くと、実質的な購買力は約545万円まで低下します。額面は変わらなくても、お金の「価値」はおよそ半分になってしまうのです。
だからこそ、貯蓄に加えて、リタイア後も継続的に収入を生み出す資産を築いておくことが重要です。インフレに負けず、着実に成長していくような資産構成を目指す視点が求められます。
資金の性格に応じた3つの考え方
必要資金をひとまとめにするのではなく、目的別に3つの区分で整理すると、計画が立てやすくなります。
- 流動性を重視する資金——事故や病気など突発的な事態に備え、すぐに引き出せる状態にしておく資金です。
- 安全性を重視する資金——日々の生活費やライフイベント費用、余暇費など、確実に使う予定のある資金は元本の安全性を優先します。
- 収益性を重視する資金——上記を確保したうえでの余剰資金は、長期的な視点で収益性を追求する運用に充てることが選択肢となります。
重要なのは、この3つのバランスは年代やライフステージによって変わるという点です。たとえば30〜40代であれば、リタイアまでの時間的余裕があるため収益性を重視した配分を大きくとることができます。一方、50代後半〜60代になるとリタイアが近づくため、安全性・流動性の比重を高め、資産を守る方向へシフトしていく必要があります。「今の自分にとって最適なバランスはどこか」を定期的に見直すことが、計画を形骸化させないポイントです。
さらに、ご自身の財政状態を客観的に把握するために、個人バランスシートとキャッシュフロー表の作成をおすすめします。資産・負債の現状、今後の収支見通し、お子様やお孫様への贈与・相続を含めた支援計画、医療・介護への備えなど、ライフプラン全体を俯瞰して設計することが大切です。
まとめ
将来のビジョンを実現するためには、「必要保障額の把握」「リタイア後の生活資金シミュレーション」「資金の目的別管理」という3つのステップが欠かせません。
まだ明確なビジョンが固まっていないという先生も、まずは一度立ち止まって、これから実現したいこと、後回しにしてきたことを書き出してみてください。目標が見えてくると、必要な準備も自然と明確になります。
弊社では、先生方お一人おひとりのビジョンに合わせたライフプランニングをサポートしております。まずはお気軽にご相談ください。