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‐ 2024年6月号 ‐

タンス預金でもバレる!?

2024年7月の新札発行の前に、タンス預金をしていた人達が現行の紙幣から資金シフトする傾向が最近では見かけられます。タンス預金は日本に50~100兆ほどあると言われており、タンス預金をする理由のひとつに、「相続税対策」と考える人もいるのではないでしょうか。 しかし、タンス預金は本来、申告しなくてはいけないものとなります。バレないならいいのではないかと思われている方も多いですが、大体は税務調査で発覚します。税務調査を行う場合、亡くなった本人だけではなく、その家族の預金通帳も10年遡って調査します。この間に、大きな支出や、

不審な入出金があれば、タンス預金や子への贈与などの可能性を疑われることになります。タンス預金が発覚した(相続税の脱税をした)場合、追徴課税が発生する場合があります。追徴課税には過少加算税(10%~15%)と延滞税(7.3%~40%)があり、さらにタンス預金の場合は、故意的に隠ぺいしたとみなされ、重加算税(35%~40%)の対象とされる可能性が大きいです。そのため、タンス預金を「相続税対策」とするのはやめた方が良いと言えます。

ただ、すべてのタンス預金を否定するわけではありません。タンス預金はいつでも好きなタイミングでお金が使えますし、相続発生時に口座が凍結されても影響を受けないこと、銀行が破綻した場合でも資産を守ることができます。しかし、災害時の消失するリスクや盗難のリスクを考えると、数十万円程度にしておくのが良いでしょう。

また、タンス預金では利息が1円もつきません。資産を眠らせてしまうことになり、その間の資産運用の機会損失だと言えるでしょう。適切な資産運用を行うことで、将来への備えにもなります。もちろんリスクがないとは言えませんが、資産を有効に運用し、将来の資産形成につなげることが、ご自身・ご家族の為にもなるのではないでしょうか。ぜひ、タンス預金を多くされている方は、インフレ対策としての資産運用をご検討くださいませ。