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‐ 2024年12月号 ‐

相続土地国庫帰属制度と死後事務委任契約について
資産や手続きの整理は、人生の重要な課題です。特に近年、相続や死後の事務処理に関心が高まっており、法的制度を活用することで家族や周囲の負担を軽減することができます。本記事では「相続土地国庫帰属制度」と「死後事務委任契約」について簡潔に説明します。
相続土地国庫帰属制度とは
2023年に施行されたこの制度は、相続した不要な土地を国に引き取ってもらう仕組みです。土地の管理が困難な場合や維持費が負担となるケースに対応しています。ただし、すべての土地が対象となるわけではなく、管理費用が高額な土地や崖地、建物付きの土地は除外されることがあります。また、国に引き取ってもらうには10年分の管理費相当額を負担する必要があります。この制度を活用すれば、相続人は土地管理の負担から解放され、地域の放置土地問題の解決にも貢献できます。ただし、申請には法務局の審査が必要であり、専門家への相談が推奨されます。
死後事務委任契約とは
死後事務委任契約は、自分の死後に必要な手続きを第三者に任せる契約です。具体的には葬儀の手配や遺品整理、住居の片付け、公共料金や未払い費用の精算などが含まれます。この契約は、身寄りがない場合や家族に負担をかけたくない場合に有効です。また、事前に希望する葬儀の内容や遺品処分の方法を決めておくことで、自分の意思を反映することができます。契約は公正証書として作成し、信頼できる個人や専門業者に依頼することが重要です。費用や契約内容を明確にしておくことで、死後の事務処理を確実に進めることができる手続きとなります。相続土地国庫帰属制度と死後事務委任契約は、現代社会において重要な役割を果たします。不要な土地を相続してしまった場合、国に引き取ってもらうことで管理や維持の負担を軽減でき、放置による地域の問題も解決に導きます。一方、死後事務委任契約は、遺族や身近な人々への負担を減らし、自分の死後の事務手続きを確実に進めるための有効な手段です。これらの制度を適切に活用すれば、自分の意思をしっかりと形にし、残されるご家族にも大きな安心を与えることができます。しかし、どちらの制度も手続きや条件が複雑なため、早めに準備し、専門家と相談しながら進めることが大切です。人生の最期や相続について考えることは避けがちですが、制度を知り、活用することで未来への備えが具体的になります。遺産の残し方を検討しておくことで、遺族の争いを避けることが出来ます。心穏やかな日々を過ごすために、元気な間に取り組みましょう!